傍楽 ~未来をつくる仕事をしよう~

「働く」とは「傍(近くにいる人)」が「楽(らく)」になること。日々の仕事を通じて社会に貢献する、社会事業家・活動家から感じたことを綴っていきます。

(備忘録)引き離しは虐待、どんなむごいことをしているのか 小田切紀子先生~子の連れ去りが子どもに与える影響について

会見「夫婦間の子どもの『連れ去り』を巡る問題」(2019.4.9)より、子どもの心理を専門にしている小田切紀子先生が、子の連れ去りが子どもに与える影響についてスピーチされていたので、該当箇所を、備忘までにメモしました。

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田切紀子です。子どもの心理を専門にしておりまして、その立場から今日は三つお話ししたいと思います。

一つは、子どもにとって親の別居・離婚が、どういう体験になっているのかということ
二つ目は、子どもが親から引き離されるという体験はトラウマであり、これはもう児童虐待ということ、

そして三つ目、よく日本の家庭裁判所では、子どもが別居親と会いたくないと言っている、そういった子どもの意思をもとにして、監護権の指定だったり、面会交流を決めることが多いのですけれども、その場合の子どもの意思の扱いについて、お話したいと思います。

まず、子どもにとって親の別居・離婚ですけれども、親というのは子どもにとって深い心の絆を形成した本当に大切な愛着の対象であって、かけがえのない存在なわけです。親の別居・離婚、これは本当に親の都合です。
それによって、どちらかの親と別れる体験というのは、本当に大きな悲哀を伴う体験であり、加えてその別れるに至っての家の中の緊張感であるとか、時には両方の親の親戚であるとか、祖父母を巻き込んでのいさかい、そういった感情の対立にも巻き込まれて、本当に辛い体験をする、そして、一方の親に連れ去られることによって、住み慣れた家であるとか、地域であるとか、お友達であるとか、幼稚園、学校、そういったものも突然失わなくてはいけない、という、もう子どもにとっては本当にその後の人生にわたって、もう何十年にもわたる大きなネガティブな体験を伴うんだということです。もう数多くの心理学や精神医学の研究が、人間は心理的ストレスな状態に置かれ、それが継続してさらされると誰でも心身に不調をきたすんだと、それは子どもでもそうなんだということ、衣食住が満たされているだけではまったく不十分なわけです。

子どもというのは情緒的に安定した親のもとで、安定したコミュニケーションのもとで、精神的に発達していくことができます。子どもというのは大人とは違って、外で気晴らしをしたり、外にサポートを求めたりができないわけですね。ですから、そういう辛い体験というのは、本来であれば、親が支えてくれて、ハグしてくれたり、受け止めてくれたりするわけですね。ところが、こういった状況におかれては、親の不機嫌な態度であったりとか、時には両親間のいさかいに巻き込まれてしまって、子どもは辛い気持ちを心の中にぐっと押し込めていかなくちゃいけないということ、そのことが子どもにどういった心理的ダメージがあるかというのは想像に簡単なわけで、自己肯定感、自分に対する自信ですよね、それがもうなくなりますし、人を信じることが出来なくなりますし、学校の成績も低下していきますし、社会適用、学校、就職したあとの企業の適用、アルコールやドラッグの問題、そういったことが起きるということが、海外の研究でも日本の研究でも、実証されています。もう100近い研究のデータがこれらを実証しているわけですね。こういった事象をもとに、海外では、離婚したあとも、子どもが両方の親と関わることが大事なんだということで、共同親権であったり、離婚後の二人で子育てをしようという政策を取り入れているわけです。

そして二番目に子どもの連れ去りですけど、非常にトラウマ体験になり、そしてそれは、PTSDを発症して、明らかに子どもにとって児童虐待に該当するということです。このことを、日本の行政であるとか、司法は理解することが必要になっていくと思います。
今もさんざん子どもの利益という言葉がでてきていますけれども、子どもの利益の大事なポイントは、将来に向けて子どもの人間関係の安定を図ることなんです。ですので、将来的に、一方の親と人間関係が断絶されるということは、これはもう断じて避けなければいけないことであり、これは児童虐待の情緒的虐待に該当することです。この辺をやはりきちんと明記すべきだと思います。

三番目、子どもの意思表明ですけれども、今家事手続き法が変わりまして、子どもに関する別居・離婚問題に関しては、子どもの意思を聞こうということが決められるようになりました。これは児童の権利条約でも子どもの意思表明の権利として謳われております。
もちろんこれは大事なことですが、その前に、やはり、子どもはきちんと情報を与えられるべきなんですね。現状では同居している親、一方の親、あるいはその祖父母からの一方的な情報しか与えられていない。その状況で、子どもは、どうしたい、どうおもう、ということを聞かれて、それをもとに、例えば、家庭裁判所であれば、報告書などが書かれているということ、つまり不十分な情報しか与えられていない状況で、子どもは意思表明をさせられているということなんですね。
子どもは知る権利があります。ですので、意思表明をする前に、中立的な第三者の立場のものが、子どもに関わる重大なことについて、教える、報告する、そういうことが必要です。たとえば中立的な立場というのは、日本では、子どもの代理人ですね、手続き代理人、弁護士ですけれども、そういった方がついていてもいいとおもいますし、私のようなサイコロジストでもいいと思います。
海外ではこういったことがきちんと制度化されています。ですので、こういう問題が起きたあとすぐに、裁判所などが、そういう子どもの中立的立場にたって、子どもにずっと付き添って、子どもに必要な情報を与えていく、心身ともにサポートしていく、そういう人が必要になるとおもいます。

以上まとめますと、毎年22万以上の子どもが親の離婚を経験しており、その2/3は別居親に会えていないんですね。離れて住む親に会えていないんですね。そして、その子どもたちは、今いったような心理的な影響を受けているということ、これはもうパブリックヘルス、公衆衛生の問題ではないかと私は思っております。

ですので、大人たちは、頭と心を使って、この問題を解決していかなくてはいけない、そう思っております。

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