傍楽 ~未来をつくる仕事をしよう~

「働く」とは「傍(近くにいる人)」が「楽(らく)」になること。日々の仕事を通じて社会に貢献する、社会事業家・活動家から感じたことを綴っていきます。

「居場所カフェ」は学校の中にあるセーフティーネット ~居場所カフェが教育を変えていく@大阪③

高校内居場所カフェの生みの親、一般社団法人 office ドーナツトーク 辻田梨紗さんのお話から

 

感想

高校中退率ワースト1が大阪だったことに衝撃を受け、高校内にセーフティーネットをつくれないかと考え、ドイツの基幹学校内にあったカフェを参考に西成高校内に居場所カフェをつくった辻田さん。そこで出逢った子どもたちは、家庭に問題を抱えているだけでなく、自分の発言を聞いてもらえない環境、レールを外れたら(留年、中退)、未成年なのに自己責任のもと学校から排除される仕組みの中で生きている子たちだった。本当に過酷なぎりぎりの状況で生きている子たちの複雑な気持ちに寄り添おうとする気持ちが強く伝わってきた。

子どもたちに人気の「カフェ」という形態は、個別相談室と異なり通うことへの偏見が無いため、子どもたちもスティグマを気にせず立ち寄れる。また、スタッフ側も自然と話しかけやすいのでソーシャルワークに繋げることができるというのが居場所カフェの強味。その他にもカフェ×ソーシャルワークの強みを改めて知ることができた。

 


講演内容レポート

ドイツへ視察
  • 辻田さんは、2011年内閣府の研修( 青少年分野 )でドイツ視察へ
  • ドイツでは、ドイツの子どもよりもトルコ移民の子どもの方が多いという逆転現象が起きていた。そのため、トルコの子ども向けの職業訓練やストリートワーク(道での声がけ)などの取り組みをしっかりやっていこうという方針で出た。ドイツはナチスの時代を引きずったまま来ている部分がある。
    →ヨーロッパの中で信頼を得られるようにするためには、若者を育成しないといけないという考えから若者支援に力を入れるようになった。
  • 視察に行った街の人口は一万人くらいだったが、街が子どもに対して「この街に何が必要ですか?」とというアンケートをとるぐらい、きちんと子どもの声を聞こうというスタンスがある。アンケートの結果、2番目が「カフェ」だった。学校ではなく児童館のような場所に「カフェ」をつくり、子どもたちがカフェ店員としての職業体験ができる居場所となっていた。 
hsg(基幹学校)にあった「カフェ」との出逢い
  • 「hsg」という小さな基幹学校を訪問した。校内にあった「カフェ」が高校内居場所カフェのアイデアの種となる。
  • hsgは10歳くらいまでの子どもを対象にしていて、卒業後に職業訓練を受けることを視野に入れている子ども、進学を希望する子どもの両方が通っている。
  • hsgにあったカフェは、先生が街の中から廃材を集めてきてつくった、手作り感満載のカフェであった。
  • お手伝いをすると、今後就労に進もうとしている子には、ちゃんと職業体験してますよという証明を出してくれる。
  • カフェの隣には学習室があり、そこにソーシャルワーカーがきて、学習が必要な子どもはサポートしている。
  • ソーシャルワーカーの役割としては、子どもが自分の適性を考えていく、将来について考えていくことをサポートすることであった。
    →10歳で職人的な道に進むのか、大学などに進学するのかという判断をしなくてはいけなく、すごく慎重に対応しなくてはならないが、そこでソーシャルワーカーがサポートする。
帰国後、大阪で居場所カフェを開始
  • 帰国後、カフェをやりたいなあと漠然とおもっいてたところに、予算をつけてもらえるような機会があった。これが、西成高校との出逢い。
  • 西成高校の中で居場所カフェを始めたが、最初はカフェの雰囲気をなかなか出せなかった。少しづつドリンクやお菓子を出したり、スタッフはエプロン着用、グラスも本物を使うなど、カフェらしさが徐々に出てきた。

  • もともと不登校の子ども向けの居場所事業に関わっていたので、彼らが高校生になった時に学校の中でやっていけるのかなと不安を感じることがあった。そこで、高校の中退率をみたら、全国の中で大阪がワースト1だった。(且つ高校中退後の無料で使える支援窓口は乏しい)
    それにショックを受け、送り出した子どもたちが高校を続けられていないんじゃないかと思った。中学から高校への進学率は97%。つまり、97%の子どもがいる高校が、子どもたちにとって、社会に出る「最後の砦」となる。「ここにアプローチできなかったら、いつできるんだ」と考えた。当時所属していた淡路プラッツは引きこもりになった後の子どもを支援していたが、早い段階で子どもと繋がっておくことができれば状況は変わっていたかもしれないと考えた。
    「高校の中に窓口を作ることができたら」という想いと「カフェ」がつながる→高校内居場所カフェというセーフティーネット

    officedonutstalk.jimdo.com

居場所カフェで出会った子ども達

辻田さんが居場所カフェで出逢った子どもたちは、未成年なのに自己責任の中で生きていて、大事にされているとのは言いがたい環境に置かれている子どもたちだった。

  • 安心できる場所、関係を安定して持ちづらい
  • 勉強にエネルギーを残せない
  • 発言を受け止めてもらえない
  • 見えづらい虐待
  • 多様な生き方が保障されない
  • レールを外れた10代(留年・中退)を排除する仕組みのなかで生きている
居場所カフェの強みとは何か

辻田さんが居場所カフェで試行錯誤されている中、カフェの強みも認識されていったそうです。学校の中に居場所カフェがある強みとは何なのでしょうか?

  1. 相談が無くても立ち寄れるということ。
    ・「食べたい・飲みたい」という欲求を理由にして通える。
    ・黙っていても不自然ではない。
    ・オーダー時、スタッフ側も安心して、且つ自然に子どもに声をかけられる。
  2. 食べることへの支援ができる。
    ・その子が普段食事をしているかどうかのアセスメントができる
    ・食べていない子には食事の提供ができる
  3. 常連の子どもが友達をつれて来てくれる。
    ・それだけ、子どもにとって「カフェ」はハードルが低い
    ・スタッフ側も「食」というツールがあるから声をかけやすい。
    ・グループで来るケースもあるので、集団と個人、両方にアプローチできる

 居場所カフェの生みの親辻田さんのお話はとても情熱的で、且つ説得力もあり、改めて居場所カフェの良さを認識できました。

 

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