傍楽 - Kaori's Blog

「働く」とは「傍(近くにいる人)」が「楽(らく)」になること。日々の仕事を通じて社会に貢献する、社会事業家・活動家から感じたことを綴っていきます。

【読書ノート】ボーダー 移民と難民/佐々 涼子(集英社インターナショナル)

友人に薦められて「ボーダー 移民と難民」を読んだ。著者は、日本語教師経験のあるノンフィクションライター佐々涼子さん。昨年米倉涼子さん主演で話題になった「エンジェルフライト 国際霊柩送還士」の著者でもある。

本書は、著者が日本の入管・難民問題について、当事者含めた関係者へ取材をしていくノンフィクション。主に、難民支援をしている弁護士の奮闘と入管へ収容された当事者への取材から、タイトルでもある「ボーダー」を考える内容だ。

私も以前から、日本の入管・難民問題については関心を持っていた。

日本の入管施設は全国で17か所。2019年時点で1253名。東京オリンピックの開催が決まってから、長期収容が増加。

 

当事者への取材から、日本は難民条約に入っている先進国であることを信じた当事者(難民)が、避難先として日本を選択したをとても後悔をしていることが、強く伝わってくる。そして、2021年の出入国管理及び難民認定法改正案では強制送還の徹底(結果、取り下げられた)。

 

また、知らなかったことは(驚くべきこととして)、2009年のリーマンショックの際に、失業した日系人労働者とその家族を出身国に国費で送り返す事業を始めたことだ。条件として、今後、日系人としての身分で日本へ再入国しないこと。本人に30万、扶養家族に20万。まるで手切れ金のようで、とても嫌な気持ちになった。

 

そして入管に収容されている方々とそのご家族に、我々ができることが無さすぎることとを改めて突き付けられた内容だった。