傍楽 ~未来をつくる仕事をしよう~

「働く」とは「傍(近くにいる人)」が「楽(らく)」になること。日々の仕事を通じて社会に貢献する、社会事業家・活動家から感じたことを綴っていきます。

コミュニティーFM「FMやまと」にパノラマが生出演〜高校内居場所カフェは子どもが素に戻れる場所

少し前ですが、5月26日、神奈川県立大和東高校のある大和市コミュニティーFMの「FMやまと(77.7MHz)」に、パノラマ代表の石井さんがZOOMで生出演でした!パノラマ石井さんの発言の部分をメモしました。

ゲスト:
大和市社会福祉協議会ボランティア振興課タニガネさん
NPO法人パノラマ代表理事 兼 大和東高校BORDER CAFE カフェマスター石井さん

www.fmyamato.co.jp

石井さん 
「20年前から引きこもりの若者支援をやっているが、引きこもりの若者たちと出会ったときに、もし引きこもる前に出会えていれば、この人はこんなに苦しまなくても済んだのだろうなと思う気持ちが強くなってきて、引きこもってからの支援ではなく引きこもる前の若者たち、特に高校生たちと出会えるような支援がしたいと考え、パノラマを設立した。」

司会者
「引きこもってしまった後だと、引きこもってしまったかどうかわからないのですよね」

石井さん
引きこもってしまうと行政も民間の支援機関も認知できないというか、見えない存在になってしまう。その前に出会っておくということが大切になってくる。」

 司会者
「具体的な活動内容はどのようなものなのでしょうか」

石井さん
「大和東高校では高校内居場所カフェという形でBORDER CAFEをやっている。毎週1回、多目的ルームをカフェに設えて、生徒たちにジュースやお菓子を無料で提供している。カフェのカウンターで生徒たちとやりとりをしながら信頼貯金を溜め、生徒との関係性を築いていってる。関係性ができてくると、生徒たちが『教室でこんなことがあった、LINEでこんなこと言われたとか、家がこうだ』というような、そういう相談をしてくれる。そういったことを、つぶさに拾いながら、支援につなげていくということをやっている」

司会者
「私なんかは不勉強で、一般的にどういう要因で引きこもりになるっていうのがわからないのです。人それぞれなのだと思いますが、特別な人が急に引きこもりになってしまうというよりかは、あらゆる人が何かのきっかけで、ちょっと外に出るのが怖くなってしまう、ということがありえるということなんでしょうか」

石井さん
「誰もがなり得ることなのかなと思っている。きっかけになることの一つに、高校中退、あるいは高校卒業のときに進学もしないし就職もしない進路未決定というような状況とか、あるいは、働き始めて半年で辞めてしまうというような早期離職、そういったことから、非正規雇用が継続していって格差の中に落ちていく。そこから社会的孤立になって引きこもり状態になるというような、そういうドミノの最初みたいな部分が不登校とか学校にあったりする。」

司会者
「こういうのは人それぞれ感じ方もちがいますし、ご年配の人からしてみると、昔は根性論があった。根性が足りないだからとかとにかく頑張れみたいな、そういう考え方の部分で育ってきた部分があるかと思うが、今の世代の方々はそうでもないのですよね」

石井さん
「昔は国全体が貧しいところから這い上がっていこうという、右肩上がりの高度成長期の中で、今日よりも明日という中で、頑張れる土台があったんだと思う。それが、右肩下がりの時代に生まれてきて、就職氷河期で、今回コロナもあるけれど、若い人たが"雇用の調整弁"と言われるんですけど、やっぱり採用が渋ってくる。そういった中で、若者が自分たちが社会から期待されていない、必要とされていないみたいな感じで自尊感情がなくなっていく。それが頑張る意欲がなくなっていくことだと思うのですけれど、そういう状況の中で、『俺が若い時は』みたいな話ってちょっと違うよねというふうに思う」 

司会者
「若い時の経験話っていうのは、する側は参考になればと好意で話していると思うが、聞く側としては、環境が全然違うので、それを今話されていてもという思いはありますよね」

石井さん
「そういう意味では、大人達がロールモデルになり得ていない。自分が若かった時の経験が教えにならない状況って、今初めておきているのではないかと思う。

社会が急激に変化している中で、大人達も自信をなくしているし、子どもたちは大人に頼ることをしなくなっているし、何かこう溝ができてしまっている。ここにブリッジをかけてあげられるような取り組みというのが高校内居場所カフェで、普段だったら出会わない話さないような人たちと学校の中で出会えるという仕組みが大事なのかなとおもう」

司会者
「大人と子どもの価値観が異なる中で、とはいえ、親子だから言っても当然だし、子を思う気持ちから言ってるのでしょうけど、それが子どもに的確に伝わっているかどうかっているのは、別の話ですね」

石井さん
「誰が言うかがすごく大事だと思う。先生がちゃんと勉強しないとだめだぞというと、『うるせー』という話になるけど、地域の経営者なんかが『ちゃんと勉強しとかないと将来困るぞ』と言うとそれがすっと入っていったりする。

若者の周りに登場人物が多ければ多いほど、いろいろな角度から言葉が刺さっていく。若者が親と先生以外の大人たちとどう出逢うか。その出逢う大人って特に専門性とかなくても、当たり前のことを言っていれば、それが支援というか支えになっていくんじゃないかなと思います

司会者
ロールモデルという言葉ピンとこなかった部分があるのですが、これから社会にでていく子どもたちにとってお手本というか、こういう人になりたいとか、こういう経験を自分をしてみたいということを示せるかということなのでしょうか」

石井さん
「僕たちは『お手本になる必要はないですよ、見本というかサンプルっていうのですかね、そういうふうになってくれたらいいです』とボランティアさんによく言っています。ロールモデルとかキャリア教育という風に考えると、きらきらと自己実現を果たした大人ををイメージしがちですが、学校の先生たちも強者だと思うのですけど、"だらだら生きているんだけど楽しそうにしている人"とか"いろんな挫折経験がありながらも今頑張っている人"とか、そういう斜め横の関係という言葉もありますけど色々な生き方があるんだと、挫折してもレールを外れても外れたところにまたレールあるんだよ、みたいなそういうロールモデルの質の人たちと出会ってもらえるといいなと思ってますね

司会者
「今の学生と私達が学生だった頃って、すごく差があるものなのですかね」

石井さん
「昔はアルバイトの面接で落ちるなんてことなかったと思うが、今の高校生たちはアルバイトは大学生に負けちゃうし、主婦層もすごく働いている。昔、マクドナルドは若い人が多かったけれど、今は多様な人が働いている。色々な人たちがライバルになってきていて、高校生たちが後回しになってきている。いろいろな経験ができなくなってきたりしているのだろうなあと感じる。

また、LINEやSNSがあることも昔とは違う。昔は、学校が終わったら学校の世界と切り離せていた。アルバイトや家の世界に入ることができた。でも、今はSNSがあるので、学校が終わっても学校が続く。そういった中で、圧迫感というか窮屈な感じで苦しんでいる子も多くいる。」

司会者
SNSがあるのでコミュニケーションには困らないはずなのだけれど、カフェにここまで来るというのは、他愛もない話をしたりとか、親密度がでてくると自分の相談を出せたりするということなのですかね。相談はSNSではできないのですかね。」

石井さん
高校生のSNSは裏垢などもあり、キャラつくっている部分がある。そこには肩肘張った自分がいる。素の自分でいられる瞬間がなかなか持てていないのだろうと思う。

一方、カフェのスタッフは、生徒たちをジャッジしないし説教もしないから、生徒たちが自分自身でいられる瞬間がある。それは、友達から離れている時間かもしれないし。そういったこと(生徒たちの潜在的なニーズ)を受け止めていられる気がする

司会者
「本来は家で本音が話せるのがいいと思うが、親になったからといって、誰にでも急にできるわけじゃない。でも、気持ちとしては伝わる部分があるのではないか。」

石井さん
ひとり親家庭相対的貧困の問題もあり、親が自分が生きていく中で精一杯というご家庭もあるだろうし、家の中が安心・安全ではない子たちも少なからずいるのではと思う。

帰ってくると親の隣にぴったり座って1日あったことをしゃべることで日常のうっぷんなどをアウトプット出来ない子たちというのがいるとおもう。その子たちが、カフェで信頼できる大人たちにそれをしているんだなって感じがすごくします。ばーっと吐き出してくる感じが。」

司会者
「人間って外に出せるものがないと、どんどん内側に引きこもってしまっていて、それがたまってくると吐き出しにくくなる。大きくなりすぎて出せなくなるように思う」

石井さん
「カウンセラーでは、大きくなったかたまりを"チャンク"と言います。大きすぎて喉元を通らない状態です。漠然とした不安を形あるものとして具体的な課題に変えていく。大きなかたまりの中で、これは保健室、進路指導室など、課題が明確になってくる。

カフェでは、この大きくなったかたまりを日常会話の中で噛み砕いていくことができる。『それじゃあ、今度その話ちゃんとしようよ』のような感じで個別の相談の機会につなげていける。スクールソーシャルワーカーもいるので、そこにパスすることもできる」

司会者
「心の問題の整理を一緒にしていく」

石井さん
「それがないと学校に行きたくなくなってしまう。それが中退になってしまうので。平日は金曜日のカフェを楽しみにがんばって、金曜日カフェで吐き出してまた頑張れるという流れができればいいなとおもっています」 

 

◆感想

「どうして引きこもりになるのか」「SNSがあるからコミュニケーションが足りないということは昔と比べてないのでは?」など、基本的な質問もあり、これまでのイベントとは違った内容で興味深く聴かせていただきました。

改めての気づきはこちらです。若者支援関係者以外の方からの質問って、勉強になるなあと思いました。

・今の学生はLINEやSNSがあることで学校が終わっても学校が続く。そういった中で、圧迫感というか窮屈な感じで苦しんでいる子も多くいる。

・高校生のSNSコミュニケーションは素の自分を出せるものではなく、肩肘張った自分をつくっている部分がある。生徒たちを評価・ジャッジしない高校内居場所カフェは、彼らが素の瞬間に戻れる場になりうる。

素の瞬間に戻れるというのは、例えると、親に1日あったことをあーだこーだ自由にしゃべることで日常のうっぷんなどを吐き出したりすることでもあるのかもしれない。
しかしながら、親がある程度余裕がないと難しいと思うので、親が自分が生きることに一杯一杯である家庭の子どもたちは、吐き出すことができないのであろうと思う。
→その子たちが、カフェで信頼できる大人たちにそれをしていることで、生徒たちの潜在的なニーズ(自分では認識していないニーズ)を受け止めていられるのだなあと感じた。

・高校内居場所カフェでは、生徒たちの大きくなったかたまり(困難)を日常会話の中で噛み砕いていくことができる。それにより課題が明確になり、ソーシャルワークにつなげることができる。日常の中で少しづつ噛み砕くというプロセスの重要性を感じた。これは困った時に初めて個室で相談するようなスタイルだと難しい。

・高校内居場所カフェは子どもだけでなく大人にも自信を与えてくれる場になりうる。