傍楽 ~未来をつくる仕事をしよう~

「働く」とは「傍(近くにいる人)」が「楽(らく)」になること。日々の仕事を通じて社会に貢献する、社会事業家・活動家から感じたことを綴っていきます。

養育費義務化の議論でおもうこと。

 以前本ブログでも書いたように、先進国のほとんどが離婚後(婚姻外)共同親権制度で、日本は単独親権制度です。 

comriap.hatenablog.com

名作映画「クレイマー・クレイマー」は、アメリカが単独親権制度であった時代の親権争い(背景には男性の育児参加と女性の社会進出)が描かれていましたが、「クレイマー、クレイマー」以後、共同養育・共同親権の法制度が全米に広がったそうです。

女性の社会進出と男性の育児参加が積極的になってくると、離婚後の単独親権から共同親権に移行していくという過程が先進国ではあるようです。

未成年の子どもがいる夫婦の離婚には司法が入り、共同養育計画、面会交流、養育費などの取り決めをしないと離婚できない制度になっています。(全てが必須ではなく、条件は国によって異なるので、以下参照。養育費・面会交流を義務化している国は意外に少なかったですが、実現のためのサポートがあるようです)

父母の離婚後の子の養育に関する海外法制について(法務省)

離婚しても共同で養育していく共同養育・共同親権で養育費の義務化は理解できます。
(注)単独親権だと別居親の養育費が免除されるべきだとい言いたいわけではないです。

 日本の現状はどうでしょうか。男性が育児に積極的に参加するようになり、女性の活躍も叫ばれ、仕事も育児も夫婦で担うケースも増えてきました。
ただ、毎年20万組以上の夫婦が離婚していて、そのうち未成年の子どもがいる夫婦が少なくないことは確かでしょう。

平成 30 年(2018)人口動態統計の年間推計

さらに、未成年の子どもがいてもハンコ一つで離婚できてしまうため、離婚時に養育計画どころか養育費の取り決めをしていないケースが50%もあるそうです。

養育費の取り決め状況は、母子世帯の母では、「取り決めをしている」が 42.9 %(前回調査 37.7 %)となっている。一方、父子世帯の父では、「取り決めをしている」が 20.8 %(前回調査 17.5 %)となっている。
平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果(厚生労働省)

 いまだ日本は離婚は縁切りのような雰囲気が根強くあるようにおもいます。だから、ひとり親は経済的にも精神的にも厳しくなるのではないでしょうか。そしてこの縁切りが、養育費の支払いがされないことを見逃してきたり、面会交流が同居親に拒まれても仕方ないとされてきたのではと考えます。お金も父母との交流も、どちらも、子どもにとって大事なことで見逃されてはいけないことだと思います。そしてこの二つはセットであり、どちらかだけ義務化されるような制度も問題だと思います。

 養育費の義務化が議論されていますが、養育費の滞納問題が起きていると同時に、子どもとの交流を断絶させられている中、養育費を払い続ける別居親もいます。(婚姻中育児に積極的に関わっている方々も)

養育費を義務化させるのであれば、共同養育・共同親権も前向きに議論されるべきではないでしょうか?

(参考)

父母の離婚後の子の養育に関する海外法制について(法務省)から一部ピックアップ

アメリカ・ニューヨーク州の面会交流と養育費

裁判により支払を命じられた養育費を受領している同居親が,裁判により命じられた面会交流を不当に妨害した場合には,裁判所はその裁量において,面会交流が侵害されている間,養育費の支払を停止するか,支払遅滞による責任を免除することができる(家族関係法第241条)

新型コロナで注目を浴びたスウェーデンの面会交流と養育費

面会交流は,子の利益及びニーズに基づき,その具体的内容が決定さ
れる。面会交流は親についての無制限の権利というわけではなく,非同
居親は,子のニーズを確実に充足する責任を負う。

両親の離婚後に,子がいずれの親ともほぼ同程度に緊密に生活する場合には,いずれの親も養育費を支払う必要はなく,いずれかの親が他の親よりも子とより緊密に生活する場合には,各親は養育費の金額について合意することができる。その金額については,裁判所が決定することもできる。

ドイツの養育費

少年局による広範な援助が存在する。
ア 養育費の金額決定や,対話を通じた関係者間の合意形成を対象とする。
イ 養育費に争いが生じた場合には,援助人は養育費をめぐる裁判手続において子を代理する。
ウ 養育費支払義務者が義務を履行しない場合には,強制執行(例えば賃金差押え)についても援助が行われる。
エ 裁判上認められた養育費請求権が変更されるべき場合にも,援助は行われる。養育費支払義務者の収入額が変化した場合には,援助人は子の福祉のため,養育費の金額引上げを求め,又は支払義務を負う親からの養育費の金額引下げ要求に対して,子を代理して対応する。

なお,援助人は少年局により提供されるボランティアであり,サービス
は無償である

オーストラリアの面会交流

・面会交流(contact)という概念ではなく,「子と時間を共に過ごす(spend time with)」という概念により,親と子の交流が規定されている。これは親の権利ではなく義務であり,子の最善の利益のために認められているものである。
・ 裁判所は,均等な時間配分が子の最善の利益にかなうか,又は十分かつ重要な時間を共に過ごすことが子の最善の利益にかない,かつ,実現可能であるかを検討しなければならない。
・ 両親は,離婚時に,子の養育,福利及び成長について合意をしなければならず,子と共に過ごす時間も合意すべき事項に含まれる。

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