傍楽 ~未来をつくる仕事をしよう~

「働く」とは「傍(近くにいる人)」が「楽(らく)」になること。日々の仕事を通じて社会に貢献する、社会事業家・活動家から感じたことを綴っていきます。

【読書ノート】女帝 小池百合子 (石井妙子著 文藝春秋)

大変面白かった。都民の方には、都知事選の前にぜひ読んでいただきたい。

ノンフィクション作家石井妙子氏が3年半の綿密な取材をされており、とても読み応えがある内容であった。本書はカイロ大学時代に同居していた女性の証言がベースになっている。きっとこれが暴露本と言われる所以なのだろうが、これは暴露本ではない。
彼女が証言をした背景には、真実を知っていることによる自身の身の危機と大手マスコミへの失望があったようだ。

女帝 小池百合子 (文春e-book)

女帝 小池百合子 (文春e-book)

 

◆私が印象的に思ったのは、容姿へのコンプレックスと大人になってからの外見へのこだわりだ。生まれつき顔にアザがあり、そのことに対して大きなコンプレックスをもっていた。アザを隠すために小学生の時からメイクをしていた。そのコンプレックスは見栄を張りたがる親が助長していたように感じる。
「女の子なのにかわいそう」という同情。才色兼備の従姉妹との比較。良縁には恵まれないだろうから一人で生き抜いていくのだと。

子どもなのに、素でいられない日々。他人だけでなく親からのこういった眼差しは彼女の性格に大きな影響を与えたのではないかと思った。その眼差しに反抗したくなるのは理解できる。

カイロ大学に留学したのも親による従姉妹との張り合い。留学といえば欧米が一般的な中、経済的な理由でカイロに仕送り無しで行くことになるのだが、表面的には差別化を狙った自らの希望で行ったということになるわけで、それこそが彼女の強み、アイデンティティになっていく。
ちなみに、カイロで一人で生きていかなくてはならない環境に加え本人の無防備さを心配した現地の駐在員のご家族が、日本人女性との同居を勧めたそうだ。

小池百合子というと、私は希望の党民進党の件が印象に残っている。知人が民進党に関係していたので、当時の彼女の「排除します」に代表される対応にはとても嫌なイメージをもっている。
本書でも書かれているが、強者と弱者(被害者)の使い分けが巧妙で、良心の呵責なしに嘘をつくことができる人なのかもしれない。時には、とりわけ女性であることで弱者を演じ、一方で自分はただの女性ではないとアピールする。何かに失敗した時は女性であることを原因にすることで、結果的に女性を裏切っている。

水俣病患者・拉致被害者を前にした対応から、自分のメリットにならない弱者は簡単に切り捨てる方だということもわかる。弱者の経験があるのに、弱者に共感をすることはできない。いや、だからこそ共感したくないのかもしれない。

しかしながら、彼女のパフォーマンスは人を信じさせる力があるようだ。ある人は、それをサイコパスとも言っているようだが。

◆外見にコンプレックスをもっていた幼少期とは別人のように、政治の世界に入ってからは、外見(ミニスカート、ヒール)をうまくアピールしていくるのも興味深い。

◆また、支離滅裂なことを自信満々に言えたり、論理的でない点を突っ込まれると、英語やカタカナ言葉で逃げ切ってしまえる能力もある。新型コロナ対応でもそれは垣間見れた。

◆最後に本書の中での知人によるコメントをご紹介したい。

「女で顔にアザがって、親はあんなで。普通の就職や結婚はできないと、小さな頃から思ってたんだろう。あいつは、はったりで、それでもひとりで生き抜いてきたんだ。褒め上げる気はないが、貶める気にもなれない。あれは、虚言癖というより、自己防衛だよ。あいつは手にしたのはイカロスの翼だ。こんなに飛べるとは、あいつだって思っていなかったろう。太陽に向かえば翼は溶けて墜落する。その日まで、あいつは飛び続ける気なんだ」

本書に興味を持ったのは、ユニークフェイス研究所の石井さんのnoteでした。彼女もユニークフェイス当事者だったのですね。

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