映画「ジョーカー」の感想
ジョーカー観ました。
個人的には見出しにあるような「格差と差別、弱者に無関心な社会に見捨てられた中年男性の内面を描くリアルな映画」という、自分たちとは切り離した同情の視点には少し違和感がありました。こういう視点が、そもそもジョーカーを生み出したのではないかと。
彼は絶望もしてなかったし、夢もあり、愛も求めていて。同居する母親のケアもちゃんとしていて。もちろん、精神障害をもっていることもあり、貧困や差別の中にいて、そこには私もすごく怒りを感じた。でも、それは同情とは違うわけで。その違いは小さいことに見えるかもしれないけど、大きなことのように思う。こういう違いがジョーカーを生み出したのではないか?とも思う。彼は、同情してくれる人ではなく一緒に怒ってくれる人を求めていたのではないかと。ネットで感想を見てると同情が圧倒的に多く、これはジョーカーが生まれるのも時間の問題ではないか、、と思ってしまったり。。
少し視点を変えて、この映画の個人的見どころについて。彼は仲間のサポートなどがあったわけではなく、たった一人で「ジョーカー」になったわけなのですが、その変化をどう映画で表現するかという点。仲間がいれば会話などのコミュニケーションがあったり、本だったら心理面をテキストで表現できると思うのですが、この映画では、それが「ダンス」だったんですね。気持ちの変化をダンスで表現されていたのは、本当お見事でした!特にトイレのシーンは名シーンだと。ここだけでももう1回みたい。
それにしても、日本でもそうですが「精神障害を持った」「母親と同居してる」「中年男性」には、本当に社会は厳しいと思いました。彼が自己紹介で「母親と暮らしている」と言うと会場からどっと笑いが起きるシーンがありましたが、とても嫌な気持ちになりました。そこで、「ここは笑うとこではない」との発言で空気が変わりましたが、このような偏見的な同調圧力に抗う人も少ないですよね。
私は、こういう時にバシッと言って空気を変えられるような人間になりたい、、と思った映画でした。