傍楽 - Kaori's Blog

「働く」とは「傍(近くにいる人)」が「楽(らく)」になること。日々の仕事を通じて社会に貢献する、社会事業家・活動家から感じたことを綴っていきます。

子どもの声を聞くというコミュニケーション・スキル

目次

 

正解が無い相談とコミュニケーションスキル

講中の子ども電話相談養成講座の半年間の研修も、残すところあと2回となりました。今回の研修テーマはは子どもの電話を受ける上でのコミュニケーションスキルについて。ここで必要なコミュニケーションスキルとは何かというと、ここに入ってくる相談は「正解がない」ものなので、大切なのは、

  • 相談者である子どもが伝えたいことを正確に受け止められるコミュニケーションスキル
  • 私たちが伝えたい気持ちを子どもに届きやすくするためのコミュニケーションスキル

つまり、【バイアスをもたずに】子どもの相談を聞き、それに対して自分の気持ちを【正確に伝える】力なわけですが、これが本当に難しい。

なぜコミュニケーションは難しいのか 

「なぜ難しいのか?」その理由をとても論理的に教えていただき、その前提のもと相談を聞いて欲しいというお話には頷けました。「私はコミュニケーションスキル高いです!」というスタンスで相談を受けて欲しくないということだと思います。

私たちは自分の体験を発信する場合、体験を言語化した時点で正確さは目減りしているんですよね。それは個人の内的世界(価値観・人間観・人生観・世界観。自己概念・他者認知・宗教・職業観・性格など)に影響された言語になっているからです。さらにそれを、声(対面・電話)や文字(メール・チャット・SNS)で発信するときに、さらに正確さは目減りしてしまっている。

次に情報の受信者側も個人の内的世界に影響された状態で受信するので、無意識に受信した内容に意味付けをしてしまっているのですね。受信者側は無意識的にかなりの情報量をスルーしてしまっている。

つまり、発信者が受け取って欲しい情報と受信者が受け取る情報をマッチさせることは簡単なことではないわけです。

「では、どうしたらいいか?」というのが次回の研修。

チャットによる相談の課題

若年層を中心にLINEなどチャット相談が増えてきていて、ここの団体でも一部導入を始めていますが、「何が問題なのか」「何に困っているのか」が子どもの中ではっきりしていない(言語化がむつかしい)相談は、チャットでは難しいケースが結構あるということもわかってきたみたいです。

電話だと子どもが言語化できなくても、「声の調子」「話し方」「ため息」「吐息」「泣き声・すすり泣き」などから状況を想像し、会話を次に進めていくこともできるようですが、チャットだとなかなか進まないみたいようです。きっと離脱も多いのではないかと思います。

ただ、一方で子どもからのニーズは圧倒的にチャットなわけですし、子どもにとっては選択肢が多いほう良いので、これからどう対応していくのか気になります。

感想

今回の研修を通して、いかに自分が人の話に対して意味付けをして聞いているか、受け取っているつもりの情報をスルーしてしまっているか、ということが身に沁みてわかりました。記憶力のせいには出来ません・・。「人の話はちゃんと聞きましょう」という苦言よりも、よっぽど反省します。

ここの団体の研修は良いという評判は聞いてましたが、講師の人選含め本当に良かったです。いわゆるお作法的なものやテクニック的な研修はなく、子どもが置かれている環境、何気ない大人の言動で傷つけられた子どもの気持ち、子どもの権利などにフォーカスされています。

これまでのボランティアの中で最も自信がないですが、人間が死ぬまで四苦八苦するのがコミュニケーションだとおもうので、自分とも向き合えるよい機会をいただいたと思っております。

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