傍楽:来栖香のブログ

「働く」とは「傍(近くにいる人)」が「楽(らく)」になること。日々の仕事を通じて社会に貢献する、社会起業家の働き方や生き方を研究中。このブログでは、社会課題をビジネスの力で解決するソーシャル・ビジネス、非営利組織の経営、CSRなどについての気づきを共有していきたいと思います。

【読書ノート】『安楽死を遂げるまで』 (宮下洋一著)

ジャーナリスト宮下洋一氏による安楽死の現場への取材。著者は自ら死を選んだ遺族や関係者を訪ねてスイス、オランダ、ベルギー、米国などへ足を運び取材をおこなうが、中でも、スイスの自殺幇助団体「ライフサークル」代表・プライシック氏の影響を大きく受けている。帰国後、日本人にとっての安楽死として、ライフサークルの日本人会員を取材。そこからは「迷惑の文化」が深く根付いていることに気づかされる。

安楽死を遂げるまで

安楽死を遂げるまで

 

安楽死を望む人の特徴

欧米の安楽死を望む人の特徴としての「4W」

  • 白人 (アジア人と黒人は少ない)
  • 富裕層
  • 高学歴(人生を思い通り生きてきた会社の幹部が多い)
  • 心配性(将来の病や痛みを予期し心配する)
    ※このほかに、子どもがいない人が多い傾向もある。

彼らは自分の人生を最後まで、自分で決めたがる傾向にあるという。

 

一方、安楽死を希望する日本人の特徴は「まわりに迷惑をかけたくない」という「迷惑の文化」である。橋田壽賀子さんも著書「安楽死で死なせて下さい」にて、何度も以下の言葉を使っているそうだ。

人に迷惑をかける前に死にたいと思ったら、安楽死しかありません

著者が取材したライフサークル日本人会員は、発達障害の子どもを持つシングルマザーだった。彼女の母親はネグレクトで父親からも夫からもDVを受けていたことが影響しているとして、解離性障害と診断される。

興味深いのは、「自分が生きていては迷惑がかかる。毎日死にたいと思う」と思う彼女にとって、「安楽死」という選択肢ができたことが心の支えになり「もう少し生きてもいいと思う」ようになったということだ。

安楽死が抑止力になる」。これは欧米での取材でも同様の言葉が、何度かあったことが印象的である。自殺未遂を繰り返す人に「死んではダメだ」と必死に言うのではなく、死ぬこともできるというオプションを切り捨てるべきではない、という見解を示す人もいた。

 

感想

私個人としては、自分の最後は自分で決めたいと思うし、「耐えられない痛み(肉艇的・精神的)」「回復の見込みがないこと」を条件として、安楽死の法制化議論も活発になってほしいと思う。

また、会員になる=死の準備できたという安心感、というのもなんとなくわかる。

しかしながら、「まわりに迷惑をかけたくない」「まわりの空気を患者が察してしまう」日本においては、欧米のように「自らの死を他人に頼らない」という個人の生き様と家族含めた自分の近くにいる人との対話を中心として決める「安楽死」の実現は、かなりハードルが高いと思った。